建設業 経審・入札

小規模事業者・中小企業の経審評点アップのために【実務視点でやさしく解説】|経営状況分析評点(Y点)編 ~その②~

2025年6月20日

はじめに

「経審の点数を上げたい」

土木工事業や建築工事業、管工事業など、格付けが行われる業種の許可を持っている建設業者について回る問題です。

経審(経営事項審査)の評点は「客観点」と呼ばれ、入札の参加条件に影響する重要な要素です。

本記事では経営状況分析評点(Y点)の点数アップについての対策を解説します。


経審とは?ざっくりおさらい

経審とは、「建設業者の経営状況・技術力・社会性」を客観的に点数化する制度です。

公共工事の入札に参加するには、この経審を受けて総合評定値(P点)を取得しておく必要があります。

P点は以下の式で算出されます。

総合評点P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W

評価項目は5つあり、

  1. 完成工事高評点(X1点)
  2. 経営規模評点(X2点)
  3. 経営状況分析評点(Y点)
  4. 技術力評点(Z点)
  5. その他評点(W点)

それぞれで評価項目が異なっているため、各評点それぞれで対策をすることとなります。


経営状況分析評点(Y点)の対策

経営状況分析評点(Y点)は、「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4つの項目について、 それぞれ2指標の計8指標を元に「経営状況点数」を求めます。

この「経営状況点数」を元に、以下の式で算出されます。

経営状況評点Y = (167.3 × 経営状況点数) + 583

経営状況分析評点の詳細な解説については、下記の記事をご覧下さい。

https://gyosei-itakome.com/?p=1160

上記の記事でも述べていますが、複雑に見えて中小企業や小規模事業者が特に力をいれるべき指標は限られています。

また、決算年度が終わったあとでも評点を上げられる可能性があり、意外と対策がしやすい評点でもあります。

中小企業・小規模事業者が対策に力をいれるべき指標4つ

まずは中小企業・小規模事業者が対策に力をいれるべき指標を知るところから始めます。

なぜすべての指標の対策に力をいれず、指標を絞るべきかというと、

  • 対策の効果(点数の上昇)が表れにくい指標
  • 中小企業・小規模事業者では点数がつかない指標

この2点があるからです。

よって、中小企業・小規模事業者が対策するべき指標は、「純支払利息比率」「負債回転期間」「総資本売上総利益率」「自己資本比率」の4つです。

それでは、本記事では対策その②として、「総資本売上総利益率」と「自己資本比率」についての対策を見ていきましょう。

総資本売上総利益率の対策

総資本売上総利益率の計算式は以下の通りです。

売上総利益率 ÷ 総資本(2期平均) × 100

単位は「%」で、数値が小さいほど評価が良くなります。

純支払利息比率対策:売上総利益を増やし、総資本を減らす

読んでそのままですが、数値が大きくなるよう売上総利益を増やし、総資本を減らすことです。

売上総利益はいわゆる粗利で「売上高 - 売上原価」です。

総資本は貸借対照表の「負債 + 純資産」の額です。

ただし点数アップのために借入金を減らすことが、必ずしも経営を良くするとは限りません。自社の状況に合った方法を取る必要があります。

注意:売上高総利益を正しく記載しましょう

これは点数アップの対策ではありませんが、売上高総利益が正しく記載されていないために、総資本売上総利益率が高く算出されてしまう場合があります。

間違った財務諸表で申請を行うと虚偽申請にあたるため、必ず「建設業法施行規則別記様式第15号及び第16号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類を定める件(昭和57年建設省告示1660号)」を確認してから記載をしましょう。

自己資本比率の対策

自己資本比率の計算式は以下の通りです。

自己資本 ÷ 総資本 × 100

単位は「%」で、数値が大きいほど評価が良くなります。

自己資本は貸借対照表の純資産の額です。

決算期が終わった後に科目の精査などで点数を上げることができません。

こちらも借入金を減らすことで経審の点数アップに繋がりますが、自社の状況に応じて対策を行って下さい。

無理のない範囲で借入金を減らす・科目の精査

経営状況分析評点のうち、「総資本売上総利益率」と「自己資本比率」の対策を紹介しました。

借入金を減らし、売上高および売上総利益を増やし、利益を残すことが前提となります。

日頃から自社の数字を確認し、短期的なスパンで改善することを心がけてみてはいかがでしょうか。


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