建設業許可を取得するために必要な要件の一つに、「専任技術者の配置」があります。
許可を受けて建設業を営もうとするすべての営業所に、専任の技術者をおかなければなりません。
今回は、専任技術者となるための要件などについて解説します。
建設業における専任技術者とは
専任技術者とは、営業所に常勤して、もっぱらその職務に従事する技術者のことを言います。
専任技術者は誰でもなれるわけではなく、一定の資格や実務経験が必要です。
専任技術者となるための要件
それでは、専任技術者となるための要件について、具体的に見ていきましょう。
常勤・専ら職務に従事
まずは、常勤性についてです。
原則として、役員や雇用関係などにより事業主体と継続的な関係を有し、勤務時間中は営業所に勤務している必要があります。
基本的に現場に出ず、営業所に常駐することが求められます。
そして、下記のように常勤性が薄い場合、専任技術者になることができません。
- 常識上通勤が不可能な場合
- 他の営業所の専任技術者となっている場合
- 他の個人事業や他の法人の常勤役員である場合(※例外あり)
- 管理建築士や専任宅建士となっている場合(※例外あり)
- 国や県、市町村の議員である場合
なお経営業務の管理責任者と兼任することは可能です。
ちなみにコロナ禍を経て、テレワークの場合も常勤として認められるようになりましたが、あまりにも営業所から住所が遠い場合は認められない可能性が高いです。
資格・実務経験
次に、資格もしくは実務経験の要件についてです。
一定の国家資格を保有しているか、もしくは一定の実務経験を有するか、どちらかを満たす必要があります。
なおこの要件については、一般建設業許可と特定建設業許可で異なるため、注意が必要です。
一般建設業の許可の場合
<資格>
定められた国家資格を保有していることが要件です。
下記の国交省HPをご参照下さい。
https://www.hrr.mlit.go.jp/kensei/sangyo/kensetsu/kyoka/102a.pdf
<実務経験>
下記のどれかに当てはまる必要があります。
- 高校にて指定学科を卒業後、5年以上の実務経験
- 大学もしくは高専にて指定学科を卒業後、3年以上の実務経験
- 10年以上の実務経験
指定学科については、国交省のHPをご参照下さい(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000085.html)
なおここでの実務経験とは、「許可を受けようとする建設業にかかる工事」を指します。
例えば大工工事の専任技術者要件を、実務経験で満たそうとする場合は、大工工事の実務経験が必要になります。
そしてこの実務経験は重複することができません。
詳しくはこちらの記事をご確認下さい。
特定建設業の許可の場合
<資格>
定められた国家資格を保有していることが要件です。
要件を満たす資格が一般建設業とは異なります。
下記国交省HPをご参照下さい。
https://www.hrr.mlit.go.jp/kensei/sangyo/kensetsu/kyoka/102a.pdf
<実務経験>
一般建設業の許可で必要となる実務経験に加え、請負代金が4,500万円以上の元請工事に関して2年以上の指導監督的な実務経験を有することが必要となります。
一般建設業の場合と同様に、ここでの実務経験とは、「許可を受けようとする建設業にかかる工事」を指します。
なお、下記の7業種の特定建設業の許可を受けようとする場合は、実務経験で専任技術者になることができません。
- 土木一式工事
- 建築一式工事
- 電気工事
- 管工事
- 鋼構造物工事
- 舗装工事
- 造園工事
上記業種の専任技術者となる場合には、上記で述べた国家資格を保有している必要があります。
まとめ
今回は建設業許可を受けるために必要な、専任技術者について解説しました。
国家資格の取得もしくは実務経験が必要となるため、思い立ってすぐに専任技術者となれるわけではありません。
計画的なスケジュールをもって、建設業許可取得に望みましょう。
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