建設業 経審・入札

小規模事業者・中小企業の経審評点アップのために【実務視点でやさしく解説】|経営状況分析評点(Y点)編 ~その①~

2025年6月18日

はじめに

「経審の点数を上げたい」

土木工事業や建築工事業、管工事業など、格付けが行われる業種の許可を持っている建設業者について回る問題です。

経審(経営事項審査)の評点は「客観点」と呼ばれ、入札の参加条件に影響する重要な要素です。

本記事では経営状況分析評点(Y点)の点数アップについての対策を解説します。


経審とは?ざっくりおさらい

経審とは、「建設業者の経営状況・技術力・社会性」を客観的に点数化する制度です。

公共工事の入札に参加するには、この経審を受けて総合評定値(P点)を取得しておく必要があります。

P点は以下の式で算出されます。

総合評点P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W

評価項目は5つあり、

  1. 完成工事高評点(X1点)
  2. 経営規模評点(X2点)
  3. 経営状況分析評点(Y点)
  4. 技術力評点(Z点)
  5. その他評点(W点)

それぞれで評価項目が異なっているため、各評点それぞれで対策をすることとなります。


経営状況分析評点(Y点)の対策

経営状況分析評点(Y点)は、「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4つの項目について、 それぞれ2指標の計8指標を元に「経営状況点数」を求めます。

この「経営状況点数」を元に、以下の式で算出されます。

経営状況評点Y = (167.3 × 経営状況点数) + 583

経営状況分析評点の詳細な解説については、下記の記事をご覧下さい。

上記の記事でも述べていますが、複雑に見えて中小企業や小規模事業者が特に力をいれるべき指標は限られています。

また、決算年度が終わったあとでも評点を上げられる可能性があり、意外と対策がしやすい評点でもあります。

中小企業・小規模事業者が対策に力をいれるべき指標4つ

まずは中小企業・小規模事業者が対策に力をいれるべき指標を知るところから始めます。

なぜすべての指標の対策に力をいれず、指標を絞るべきかというと、

  • 対策の効果(点数の上昇)が表れにくい指標
  • 中小企業・小規模事業者では点数がつかない指標

この2点があるからです。

よって、中小企業・小規模事業者が対策するべき指標は、「純支払利息比率」「負債回転期間」「総資本売上総利益率」「自己資本比率」の4つです。

それでは、本記事では対策その①として、「純支払利息比率」と「負債回転期間」についての対策を見ていきましょう。

純支払利息比率の対策

純支払利息比率の計算式は以下の通りです。

(支払利息-受取利息配当金)÷ 売上高 × 100

単位は「%」で、数値が小さいほど評価が良くなります。

純支払利息比率対策その①:支払利息を減らし、受取利息配当金と売上高を増やす

一つ目は読んでそのままですが、数値が小さくなるようそれぞれの科目を改善することです。

支払利息は借入金を減らすことで減っていきます。借入金を減らすことで、次に述べる負債回転期間の点数アップのにも繋がります。

ただし借入金を減らすことが、必ずしも経営を良くするとは限りません。自社の状況に合った方法を取る必要があります。

純支払利息比率対策その②:手形利息割引料と雑収入を精査する

2つ目は決算期が終わった後、税申告用の損益計算書の科目内容を精査し、「純粋な支払利息のみにすること」と「雑収入から受取利息配当金を抜き出す」ということを行います。

損益計算書の「支払利息割引料」という科目には、手形割引料も含まれている可能性があるので、必ず支払利息と手形割引料を分けて記載しましょう。

また、雑収入には貸付金利息や受取配当金が含まれている可能性があるため、受取利息配当金に該当するものは必ず抜き出して記載しましょう。

負債回転期間の対策

負債回転期間の計算式は以下の通りです。

負債合計 ÷ (年間売上高 × 12ヶ月)

単位は「ヶ月」で、数値が小さいほど評価が良くなります。

負債の合計にほぼ依存する指標であり、かつ決算期が終わった後に科目の精査などで点数を上げることができません。

先述の通り、借入金を減らすことは経審の点数アップに繋がりますが、自社の状況に応じて対策を行って下さい。

無理のない範囲で借入金を減らす・科目の精査

経営状況分析評点のうち、「純支払利息比率」と「負債回転期間」の対策を紹介しました。

支払利息を減らし(借入金を減らし)、売上高を増やすことが前提となりますが、決算年度終了後も評点アップのためにできることがいくつかあります。

次回は「総資本売上総利益率」と「自己資本比率」についての対策を解説します。


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