建設業 経審・入札

小規模事業者・中小企業の経審評点アップのために【実務視点でやさしく解説】|完成工事高評点(X1点)編

2025年6月12日

はじめに

「経審の点数を上げたい」

土木工事業や建築工事業、管工事業など、格付けが行われる業種の許可を持っている建設業者について回る問題です。

経審(経営事項審査)の評点は「客観点」と呼ばれ、入札の参加条件に影響する重要な要素です。

本記事では完成工事高評点(X1点)の点数アップについての対策を解説します。


経審とは?ざっくりおさらい

経審とは、「建設業者の経営状況・技術力・社会性」を客観的に点数化する制度です。

公共工事の入札に参加するには、この経審を受けて総合評定値(P点)を取得しておく必要があります。

P点は以下の式で算出されます。

総合評点P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W

評価項目は5つあり、

  1. 完成工事高評点(X1点)
  2. 経営規模評点(X2点)
  3. 経営状況分析評点(Y点)
  4. 技術力評点(Z点)
  5. その他評点(W点)

それぞれで評価項目が異なっているため、各評点それぞれで対策をすることとなります。


完成工事高評点(X1点)の対策

完成工事高評点(X1点)はその名の通り、年間の完成工事高に応じて点数が算出され、業種別に評点が決まります。

点数アップにはとにかく受注を増やす!というのが前提になりますが、実は決算年度が終わったあとでも評点を上げることができます。

年度終了後の対策として、3つの方法を紹介します。

完成工事高評点(X1点)対策その①:工事の振り分けを再検討する

工事経歴書の作成は完成工事高評点を決める一番重要な部分です。

請け負った工事の内容は変えることができませんが、施工した建設工事の内容を精査することはできるはずです。

国交省のガイドライン等から逸脱しない範囲で、点数を上げたい業種へ工事経歴書の振り分けを再検討してみて下さい。

補足:附帯工事について

「附帯工事」という考え方がありますが、新潟県の『建設業許可申請等の手引き』によると、主たる建設工事より工事価格が低いとなっています。

主たる建設工事の施工により必要が生じた他の従たる建設工事のことで、一連の工事 又は一体の工事で施工することが必要か否かを総合的に検討して判断されます。
また、原則として、主たる建設工事より工事価格が高くなりません。

(中略)

例)屋根工事の施工に伴って発生した塗装工事
建物の改修等で電気工事を施工することに伴って発生した内装仕上工事

一般的には附帯工事に当たる建設工事が、実は金額が高かったということもあるかもしれません

評点を上げたい業種がある場合は、附帯工事という観点からも工事内容の精査を行いましょう。

完成工事高評点(X1点)対策その②:完成工事高の平均年数を変える

完成工事高評点は年間平均の完成工事高で算出されますが、「2年」と「3年」を選ぶことができます。

必ず計算して点数が高くなる方を選びましょう

完成工事高評点(X1点)対策その③:完成工事高の積み上げを行う

これはあまり知られていない方法かもしれませんが、経営事項審査の申請においては、「完成工事高の積み上げ」という方法が認められています。

積み上げとは、許可を持っている業種の完成工事高を、他の業種の完成工事高に加えて申請するというものです。

点数を上げたい業種の完成工事高をかなり大きくできる可能性があります。

補足:新潟県における積み上げの判断基準

実は、新潟県において積み上げが可能かどうかの判断基準は、『経営事項審査申請要領』には明示されていません。

担当者に確認したところ、「他の都道府県の手引や、経営状況分析機関のホームページに記載されている基準をもとに積み上げを行って下さい」との回答がありました。

注意:積み上げのデメリット

積み上げを行った場合、積み上げ元の業種で経営事項審査を受けることができません。

つまりその業種では入札に参加することができなくなるので、積み上げを行うかどうかは要検討です。


期中は受注増を狙う・年度終了後は工事内容の精査

完成工事高評点の対策を紹介しました。

完成工事高を増やすのが評点アップの前提となりますが、決算年度終了後も評点アップのためにできることがいくつかあります。

完成工事高評点を4点アップできれば総合評定値が1点上がります。是非今回の方法を試してみて下さい。


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